収益計画の立て方~PDCAのCAをうまく回すために~(後編)


昨日のエントリーの続き、何故あそこまで前提条件をつめるのか、のご説明です。


ひとつめの理由は、「途中いじり」を避けるためです。

いきなり5の収益計画を作ってしまわれる方は多いかと思うのですが、
1~4の前提条件を固める作業をせずに、Excelに数字を組んでいく作業をやってしまうと、
一旦出てきた結果(利益)を調整したくなって、どうしても費用をいじりだしてしまいます。
アナタの上司も例外ではありません。ここちょっと変えてみてくんない?と言ってきます。
数字を組み、あれやこれやと加減算し・・・とやっていると(しかもここで時間がダラダラ過ぎることが多い^^;)
何をどう変えたかが分からなくなってしまいます。

ここで分からなくなると、もうPDCAのCheckができなくなってしまいます。
(完全不可能というわけではありませんが、いちからまた「この科目は何と何が足されてこうなったんだっけ?」
と、内容の洗い出しをしなければならなくなります。)

ですので、そうならないために、前提条件は先にカッチリ固めておくわけです。

逆に、3までがカッチリできていると、
収益計画表を作るのはあっという間です。機械的にExcelを組んでいくだけですからね。
はい、自然体の費用計画のできあがり、となります。楽観、通常、悲観の通常パターンですね。

楽観、悲観パターンも必要であれば、この通常パターンを軸に作っていきます。
費用がもっと抑えられれば楽観パターンになり
もしかしたら増えちゃうかも?というものを加えていくと悲観パターンになるだけですね。


ふたつめの理由は、「戦術」を明確にするためです。

楽観、悲観とパターン化をしていくときにも、前提条件から変更します。
どう変更したかも分かるように履歴を残しておきます。特に楽観については。

そうするとですね、この履歴が、アナタの会社の収益計画上の「戦術」になります。
ざっくりイメージで言うと、
「来期は市場プレゼンスを確立するために、××の利益を上げる!」といった戦略を立てたとした場合に
「××の利益を上げるために、××費を××円まで下げる」という戦術が出てきて、
「××費を××円まで下げるには、・・・をする」という作戦が出てくるといったわけです。

ここまで明確になれば、あとは作戦を実行するだけです。
その作戦が本当に実行できたかどうか、がCheckのときに数字となって現れてくるわけです。
作戦が実行できなかったのであれば、何が原因か、次からどうすればいいのか、ときちんと振り返れば
それが次のActionにつながってきますよね。


私はこの方法を、前に勤めていた会社の社長殿に教えて頂きました。
売上においても同じ手法で数字を作っていくことができます。

最初に前提条件を完成させるまでは、とても面倒なのですが、
一度できてしまうと、計画を修正しなければならないときや、次の期の計画を作成するときには
どこをどう変えるかがすぐに明確になるので、とても楽です。
もう前提条件なしに計画値をさわるのは怖いくらいになってしまいました。

3月決算のお会社の方は、いま計画作成の真っ只中(ちょっと遅いくらいかな?)だと思いますが、
少しでも参考になれば幸いです。